国境事変 誉田哲也
国境事変 誉田哲也
たんたんとたんたんと見ているヒトが見たものをたんたんとたんたんと書き記していって、でもこれはこの人の見たものであって真実かどうかというとまたこれがわからない話で、で、真実といえばこれがまたヒトが真実と思ったものが真実になるわけで、本当の事実が真実とはまたこれ違うわけで・・・。
などどくちゃくちゃ語ってみても、おもしろさは伝わらない。登場人物のキャラクターを少し誇張して書くことによって、わたくしのなかにいとしさを残す。この人が好きだと思えば俄然物語はおもしろくなるわけである。たんたんと進む物語であっても、なんとか最後まで付き合おうと思うわけである。
警察のお話。公安だとか刑事だとか駐在さんだとか組織の中の色々な役の人たちが、誇りを持ったり疑問を持ったり、こうであるべきと洗脳されていたりこれだけは許さないと、個人ベースでなく組織ベースの物語。
スパイといったら海外モノの方を多く思い浮かべますが、これは日本のスパイの物語。制約のある中で人としてではなく、部品としての日々を送る日本のスパイ。同じ警察組織の中にあるにも拘らず、刑事と違って正義だけでは動けない苦しさがありもっと大きなモノを守っているんだという自負を無理にでも作り出しゆがんでいく。人として大切なもの、国として大切なもの、地球規模で大切なもの。守らなくてはいけないのは多数の国民なのか、一本の草木なのか、北極の氷なのかオゾン層なのか。一概には語れないけど意識はしていなくてはならないお仕事の方には敬服いたします。
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