ヤ行の作家

2010年2月15日 (月)

学問 山田詠美

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学問 山田詠美

うちの息子はこんな心の動きができる男に育てたい。
そう思わせるのは山田詠美にでてくる男の子たち。
フラットで動かされない、マッチョじゃないのに強い。
自分は女の中から出てきたモノであるという自覚が備わっているというか
自分自身はわからないけど、自然の動きはわかるというか
ステキよ。

この本の中にはそんな男の子はでてこない。
でも自分自身の欲望とか、自分の中にわきおこる涙のわけとか、怒りのわけ、顔や体が熱くなるわけをゆっくり理解するためだからかな。そのための男の子と女の子だから、このコってんじゃなくて、ここにもそこにもいるあたしとあいつってコトなんだと思う。

わからないことを伝える言葉もピッタリなら、理解してしっくりする言葉も的確。
まさに言葉の魔術師。

わたくしの欲望がわきおこる様を、わたくしもしっかり心の中で述べていきたいと思う。

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2010年1月 9日 (土)

横道世之介 吉田修一

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横道世之介 吉田修一

なんていうこともないお話ですが、どこにでもいそうでどこにもいないフラットな世之介にあいたくなります。変わっていないような気がするけれど、この1年で確実に変わったと思える。それが青い春ってやつなんでしょうね。

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2008年9月12日 (金)

パレード 吉田修一

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パレード 吉田修一

びっくり。
淡々と一人語りで物語りはすすめられていく。
マンションの一室に共同生活をしている男2人女2人。あとからもう一人男の子。一章ごとに同居人が一人ずつ自分のことを語る。どうしてここにいるのかこれからどうなりたいか、今はこうなんだけどこんな風に考えちゃうんだとか。つかず離れず、共同生活というよりは一人暮らしなんだけどリビングには人がいて、仕事が終わると帰ってくる人もいるという感じ。感じよく心地よく暮らしていると思われた。自分のことや親のことで悩んだりして、普通の人々のように思えた。友達の死で深く哀しんだりして。
日常生活ってこんな風に過ぎていくんだろうなと思ったら、ぞっとした。隣の部屋で尋常じゃない泣き方をしている赤ちゃんがいて、気にしているんだけど死んでしまってから何もしなかった自分を悔やむみたいな。なんとなく知っているけど口に出したら変わってしまうのが怖くて?面倒くさくて?誰かと話をしないうちに終わっていけばいいかなと思うように。口にださなければ何もかわることはないと信じるように。

このお話はとても、本当のことだ。
多かれ少なかれこうしてわたくしたちは生きている。

それは悪いことじゃあないけど、怖いことだ。
なまぬるくて居心地はいいけど、怖いことだ。

女たちは2度遊ぶ

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2008年7月 9日 (水)

闇の底 薬丸岳

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闇の底 薬丸岳

幼い子どもに対して抑えようのない性衝動を覚えるひとはとても気の毒だと思う。だけど絶対に許せない。絶対の絶対の絶対にだめ。死んでくれと頼むのもどうかと思うけれど、抑え切れないのだったら自身の消滅を選択肢の一つに加えてください。

登場人物がいまいち。誰も彼も生身な感じがしない。なんだろう。読み物としてはまぁ面白い・・わざとらしいのかな?わざとらしいんだな。

天使のナイフ

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2008年7月 8日 (火)

天使のナイフ 薬丸岳

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天使のナイフ 薬丸岳

少年が人を殺す。
少女が人を陥れる。

ヒトがヒトを殺す時はきっかけだけだという。
基本的にはみんな殺しやしないんだけれど、たまたま殺せそうな時に殺そうとしたら死んでしまった。そんなつもりじゃなくても、ひっぱられ踏み込んだら抜け出すことはできない。

憎しみの連鎖。どこかで断ち切らなくてはならないのだろうけど、どこで切る?知らないから忘れられないし、知ったとしても忘れられるものか。

続きの気になる本であった。
登場人物はそこら辺にいる人なんだろう、つまらない人たち。どのヒトにも心を寄せることが出来ない。出てくる人がつまらないのに物語としての完成度は高いって不思議。

愛する人を奪われたら、自分がどうなるかまったく想像できない。壊れたいと願うだろうか。自分を保つことが出来るだろうか。大切なものも何もかもわからなくなりそうで怖い。

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2007年9月 7日 (金)

山田悠介 オール

山田悠介 オール
山田悠介 オール

ありきたりの人生はいやだ。
難儀なお人じゃ。
人生=仕事とは…
さまざまに彩られるのが人生であろうに。

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2007年8月13日 (月)

山田悠介 ドアD

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ドアD 山田悠介

ある意味衝撃的。
そのまんまだから。
なんじゃこりゃなんじゃこりゃと思いつつ
うっかり読んでしまう山田作品。

新聞の売り広告を作る人。うますぎるよ。

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2007年5月18日 (金)

夢枕 獏 大帝の剣

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大帝の剣巻ノ壱~伍

まさに、はちゃめちゃ。
初版が1986年11月で、まだ5巻。まだ序盤。
いつ終わるんだよってか、終わらせる気はあるのかないのか。

超時代伝奇ロマン。
出てくる者どもがすばらしい。
岩を削り取ってできたかのような巨漢「源九郎」
その男は背中に巨大な異国の剣を持ち
眼もと口もとには不思議な愛嬌がある。
魚のはらわたを着物になすりつける
もてあますほどの気魂を身体に封じる「武蔵」
希代の人たらしの達人「霧の才蔵」
まぐわった男のものをそのままむしりとる「姫夜叉」
人でない「鬼」
天かける「天の船」
宿主を必要とする「天の者」
「柳生十兵衛」「破顔坊」「天草四郎時貞」「権三」「申」「土蜘蛛」

それぞれのエピソードを読んでいるだけで
血沸き肉踊る。

終わらない・・・。早く終わらせて・・・。

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2007年3月17日 (土)

山田詠美 無銭優雅

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無銭優雅

なんとも独りよがりなつまんない中身。
オノロケと我が身を覗き込んだ独り言はキツイ。

と言いつつ。

人が歩んできたそれがその人をその人成らしめる。
それをありがたいと押し頂くことができるなら
それはナイス出会いってやつだよね。
人それぞれの愛の示し方があって
好もしいと感じる愛の示し方を
そばにいてくれる人が示してくれたら
こりゃもう、一生をその人と歩んでいかねば
いつか来るべき、心中の道行きですわ。

大人だからとか子供だからとかではなく
その人がその時に一番なモノと言うことだ。

「例の殿方は、ちゃんと慈雨さんのお心を預けられるお方
なんでしょうね」

つらい時に一緒に泣いてくれる人
しかもそれは輪唱。
力いっぱい泣ききったら、気持ちよく温かいところで眠られるね

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2007年2月18日 (日)

神は沈黙せず 山本弘

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神は沈黙せず

山本弘

長い。

大部分は引用で占められているんじゃないかな。

いや、おもしろいけど。

神っているの?いるんだよこれが・・・。

やっぱり根底に流れるのは、人の愚かさなんだけどね。
信じたいものしか信じないの。
見たいものしか見ないしね。

作り物の世界だったら、ほんとっに楽になれると思ってしまいました。
作り物の世界でも、七転八倒なんだけどね。

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