中学2年生への読み聞かせ
紙芝居やまんばと三人きょうだい
昔、あるところに3人の兄弟がいた。ある日、山仕事に出かけたおとうとおかあは、やまんばに「がぶり」とのみこまれてしまった。やまんばは、おかあに化けて、兄弟のところへやって来た。3人はあわてて逃げ出したが…。
幸せになる力 清水 義範
『勉強しなさい』は応援の声。
親からの勉強しなさいの声は、いい大学へ入れとか勉強で一位をとれとかの『命令』じゃない。たとえびりっけつだって親はガンバレを言い続けるよ。一生懸命になってという意味なんだと思う。
春の足音
春の足音って、どんな音がするのでしょう。ドスンドスンと、大きな音?それとも、ねこのように静かにやってくるのでしょうか。春をまちわび、先生からきいた春の足音をさがす少女のお話。
つららがぽーっとん
「つらら、つらら、つららさん、春はちかいかどうか、おしえてよ」。女の子が窓の外のつららにたずねると、つららのしずくが答えます。「ぽーっとん ぽーっとん ちーかい ちーかい」。でも、まだ外では冷たい風が吹いています。そしてある日、女の子がつららにたずねると、つららさんの答えは、「ぽっとととととと とまらない。そこ そこ そこ 春はすぐそこに きているよ」。春に向かう明るく力強い陽射しをうけて、きらきらと輝くつららとしずくが、春の訪れを告げます。透明感のあるつららとしずく、そして、冬から春へ季節のうつろいのなかで変化する北国の情景。
綱渡りの男
1974年、マンハッタンの世界貿易センターのツインタワーで行われたフィリップ・プティの綱渡りの様子を、『What Charlie Heard』などの絵本で知られるガーシュタインが簡潔かつ叙情的な語りで伝えている。「むかし、2つの塔が隣りあって建っていた。どちらも高さ400メートルあまりで…ニューヨーク市でいちばん高い建物だった」と、本書はおとぎ話のような書き出しで始まる。主人公は、空中曲芸師で大道芸師のフランス人。「ひとりの若者の目に、天空にそびえる2つの塔が映った…若者は、2本の木のあいだに張ったロープの上で、歩いたり踊ったりするのが大好きだった」。一方の木からもう一方の木へとロープを渡っていく若者の背後に、ツインタワーが空高くそそり立っている。双子のビルをじっと見つめるフィリップ。彼が見ているのは「塔そのものではなく、塔のあいだにある空間…あそこにロープを、綱渡りの綱を張れたらどんなにすてきだろう」。フィリップと友人たちは建築作業員を装い、リールに巻いた重さ約200キロのケーブルやその他の機材を、南棟の屋上へ運び上げる。そこから40メートル以上離れた北棟までケーブルを渡すくだりは、インクと油彩の絵を漫画風にコマ割りして詳しく描き出され、それ自体がじつに興味深いと同時にぞっとするようなひとつのストーリーになっている。綱渡りの経過を追う独創的な折込みページは、フィリップの足下に広がる目のくらむような街の景色を見せてくれる。このページをめくると、今度は通行人の視点で、フィリップの妙技をはるか地上から見上げることになる。ビルの屋上に駆けつけた警官に「逮捕するぞ」と脅されたフィリップは、2つの塔のあいだを何度も往復する(「綱の上にいるかぎり、若者は自由だった」)。ガーシュタインのドラマティックな絵のなかには、思わず息をのむような眺望も含まれている。とりわけ感動的なのは、本書の最後を飾る絵――フィリップと彼の渡り綱によってつながれた、今や「記憶の中」の存在となったツインタワーのイメージ。
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